アピチャートポン・ウィーラセータクン、SF作家アーサー・C・クラークの小説を映像化か

Photo by Parichart https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Apichatpong_Portrait_02.jpg Photo by Amy Marash https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Clarke_sm.jpg

『ブンミおじさんの森』(2010)『MEMORIA メモリア』(2021)で知られるタイを代表する映画監督アピチャートポン・ウィーラセータクンは、SF作家アーサー・C・クラークの作品から着想を得た新作映画を製作するようだ。米Deadlineが報じている。

Deadlineは、ニューヨークの映画館「メトログラフシアター」で行われる、『MEMORIA メモリア』(2021)の35mmフィルム上映にあわせたインタビュー記事を取り上げ、アピチャートポン監督の次回作に関して、内容を明らかにした。

アピチャートポン監督によると、新プロジェクトは3月からスリランカでロケハンが開始されるようで、最新作『MEMORIA メモリア』よりも「柔軟性を持った」かたちでの製作を目指している、という。「低予算で、おそらく(常連の)ジェンジラー・ポンパットとサクダー・ケーオブアディと再び組むことになるだろう、昔馴染みのね」と語っている。

『MEMORIA メモリア』では母国のタイを離れ、コロンビアで撮影を行ったアピチャートポン監督。
その際の撮影を振り返り「コロンビアでの撮影は、制作規模が大きいうえに言語も異なるため、今まで以上に複雑だった。スリランカでの撮影は、(可能かどうか僕には分からないが)毎日、具体的な撮影リストを持たないようにしたいんだ」と語った。

新作映画が、アーサー・C・クラークのどの小説を題材にするのかは現時点では明らかになっていない。

しかし、アピチャートポン監督はクラークについて、「彼はスリランカで暮らし、スリランカで亡くなった。彼の作品のひとつ『楽園の泉』(1978)は、スリランカの風景をモデルにした架空の土地を舞台にしているんだ」と述べており、『楽園の泉』が作品の題材のひとつになるかもしれない。

また、クラークの小説だけではなく、聖地巡礼のためスリランカを訪れたタイ人女性が書いた記事からもインスピレーションを受けているようで、「彼女は、クラークの物語に影響を与えた山と同じ山を登っているんです、だから僕も行ってみるつもりだ」と語っている。

カンヌ国際映画祭では、『ブリスフリー・ユアーズ』(2002)で「ある視点」部門グランプリ、『トロピカル・マラディ』(2004)で審査員賞、『ブンミおじさんの森』(2010)でタイ映画史上初となる最高賞パルムドールを獲得したアピチャートポン・ウィーラセータクン監督。
2021年には、主演にティルダ・スウィントンを迎え、自身初となる英語作品『MEMORIA メモリア』(2021)も公開されている。

タイを代表する映像作家アピチャートポン監督が、これまでスタンリー・キューブリックらが映像化してきたアーサー・C・クラークの小説をどう描くのか、今から注目だ。

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