ジェームズ・キャメロン監督『アバター』3作目後にヒロシマを題材とした映画を製作か

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『タイタニック』(1997)『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)のジェームズ・キャメロン監督は、『アバター』シリーズの3作目と4作目の間に、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下を題材とした映画を自ら監督する意向を示している。米Los Angeles Timesが報じた。

キャメロン監督が手掛ける予定の企画は、米作家チャールズ・ペレグリーノのノンフィクション小説『The Last Train from Hiroshima : The Survivors Look Back』を映像化するもの。2015年には、改訂版となる『To Hell and Back: The Last Train From Hiroshima』も発売された。
著者のペレグリーノは、古生物学や法考古学の研究者として活躍する傍ら、作家としても活躍し、『タイタニック 百年目の真実』『ダスト』『キリストの棺 : 世界を震撼させた新発見の全貌』などを発表。『タイタニック』(1997)や『アバター』(2009)の科学コンサルタントとしても参加しており、キャメロン監督との親交は深い。

同書は、被爆者と米軍パイロットへの綿密な取材をもとに、原爆投下の前、中、後における広島と長崎での生活を記録したものだ。
とりわけ、広島と長崎の地で2度にわたって被爆した「二重被爆者」である故山口彊(やまぐちつとむ)氏の体験は、本作の多くの部分を占めている。

キャメロン監督は、ロサンゼルス・タイムズの取材の中で、ウクライナ侵攻やナショナリズムの復活に触れながら、本作に対し、次のように語っている。

私たちは思っている以上に、「不安定」な世界を生きている。
ヒロシマの映画は、これまでと同様、いやそれ以上にタイムリーな作品となるだろう。
核兵器が人々をターゲットに使われた時、何が起こるのか思い出させるのです。

本作はジェームズ・キャメロンが長年にわたり映画化を切望してきた悲願の企画だ。

2010年にキャメロン監督が本作の映像化の権利を取得し、2009年には『アバター』(2009)の来日プロモーションにあわせ、長崎の病院に入院していた山口氏の病室を訪問し、山口氏から「自分の体験と核廃絶のメッセージを世界中の人々に伝えてほしい」という願いを託されていた。

その後もキャメロン監督は映画化の構想を練っていたものの、原作に一部信憑性の低い描写が掲載されていたことなどをきっかけに一時出版停止となり、映画化企画も長らく棚上げ状態となっていた。

『アバター』シリーズ2作目となる『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が公開中のジェームズ・キャメロン監督は、現在3作目のポストプロダクション(撮影後の仕上げ作業)を行っている最中。

3作目が2024年12月20日、4作目が26年12月18日、5作目が28年12月22日に全米での公開が予定されており、大忙しとなるキャメロン監督だが、3作目と4作目の間に製作が実現すれば、2025年あたりには公開されるかもしれない。
いずれにしても続報に注目だ。