2023年3月12日(現地時間)、第95回アカデミー賞授賞式がロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された。
作品賞に輝いたのは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。
作品賞のほか、主演女優賞、助演女優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、編集賞の、本年度最多となる7部門を制した。
主演女優賞を獲得したミシェル・ヨーは、アジア系俳優初となる主演賞を獲得という快挙を成し遂げ、助演男優賞に選ばれたキー・ホイ・クァンは、かつて『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)で共演したハリソン・フォードと壇上で熱い抱擁をかわし、今回の授賞式の名場面のひとつとなった。
主演男優賞は『ザ・ホエール』で、死期が迫った重度の肥満に苦しむ孤独の男を演じたブレンダン・フレイザー。『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』(1998)で、一躍スター俳優の仲間入りを果たした彼だったが、セクハラ被害などが原因で、2010年代以降は表舞台から姿を消していた。カムバック作ともいえる『ザ・ホエール』で、見事主演男優賞を獲得したかたちだ。
『ザ・ホエール』は主演男優賞のほか、メイクアップ&ヘアスタイリング賞も受賞している。
そのほか、独作家エーリヒ・マリア・レマルクの長編小説をリメイクしたNetflix映画『西部戦線異状なし』は、国際長編映画賞を含む4部門を獲得。大ヒットを記録した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』『トップガン マーヴェリック』はそれぞれ1部門を受賞した。また、日本でロングラン上演中のインド映画『RRR』は、劇中歌“Naatu Naatu”で歌曲賞を獲得した。
受賞が期待された『イニシェリン島の精霊』(8部門9ノミネート)、『エルヴィス』(8部門ノミネート)、スティーブン・スピルバーグ監督『フェイブルマンズ』(7部門ノミネート)、ケイト・ブランシェット主演『TAR/ター』(6部門ノミネート)、『バビロン』(3部門ノミネート)、『THE BATMAN -ザ・バットマン-』(3部門ノミネート)は、いずれも無冠に終わった。
司会は人気テレビホストのジミー・キンメル。またプレゼンターとして、ハリソン・フォードをはじめ、アンドリュー・ガーフィールド、ペドロ・パスカル、マイケル・B・ジョーダン、マーゴット・ロビー、エミリー・ブラント、ジェニファー・コネリー、サミュエル・L・ジャクソン、モーガン・フリーマンらが登場した。
気になる受賞結果一覧は以下の通り。(受賞作は太赤字・★印)
2023年(第95回)アカデミー賞 受賞・ノミネート作一覧
作品賞
『西部戦線異状なし』
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
『イニシェリン島の精霊』
『エルヴィス』
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』★
『フェイブルマンズ』
『TAR/ター』
『トップガン マーヴェリック』
『逆転のトライアングル』
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
監督賞
マーティン・マクドナー(『イニシェリン島の精霊』)
ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)★
スティーブン・スピルバーグ(『フェイブルマンズ』)
トッド・フィールド(『TAR/ター』)
リューベン・オストルンド(『逆転のトライアングル』)
主演女優賞
ケイト・ブランシェット(『TAR/ター』)
アナ・デ・アルマス(『ブロンド』)
アンドレア・ライズボロー(『To Leslie トゥ・レスリー』)
ミシェル・ウィリアムズ(『フェイブルマンズ』)
ミシェル・ヨー(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)★
主演男優賞
オースティン・バトラー(『エルヴィス』)
コリン・ファレル(『イニシェリン島の精霊』)
ブレンダン・フレイザー(『ザ・ホエール』)★
ポール・メスカル(『aftersun/アフターサン』)
ビル・ナイ(『生きる LIVING』)
助演女優賞
アンジェラ・バセット(『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』)
ホン・チャウ(『ザ・ホエール』)
ケリー・コンドン(『イニシェリン島の精霊』)
ジェイミー・リー・カーティス(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)★
ステファニー・スー(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)
助演男優賞
ブレンダン・グリーソン(『イニシェリン島の精霊』)
ブライアン・タイリー・ヘンリー(『その道の向こうに』)
ジャド・ハーシュ(『フェイブルマンズ』)
バリー・コーガン(『イニシェリン島の精霊』)
キー・ホイ・クァン(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)★
撮影賞
ジェームス・フレンド(『西部戦線異状なし』)★
ダリウス・コンジ(『バルド、偽りの記録と一握りの真実』)
マンディ・ウォーカー(『エルヴィス』)
ロジャー・ディーキンス(『エンパイア・オブ・ライト』)
フロリアン・ホーフマイスター(『TAR/ター』)
編集賞
ミッケル・E・G・ニルソン(『イニシェリン島の精霊』)
マット・ビラ、ジョナサン・レドモンド(『エルヴィス』)
ポール・ロジャース(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)★
モニカ・ウィリ(『TAR/ター』)
エディ・ハミルトン(『トップガン マーヴェリック』)
国際長編映画賞
『西部戦線異状なし』★
『アルゼンチン1985 〜歴史を変えた裁判〜』
『CLOSE クロース』
『EO イーオー』
『The Quiet Girl(原題)』
脚本賞
マーティン・マクドナー(『イニシェリン島の精霊』)
ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)★
スティーブン・スピルバーグ、トニー・クシュナー(『フェイブルマンズ』)
トッド・フィールド(『TAR/ター』)
リューベン・オストルンド(『逆転のトライアングル』)
脚色賞
イアン・ストーケル、レスリー・パターソン、エドワード・ベルガー(『西部戦線異状なし』)
ライアン・ジョンソン(『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』)
カズオ・イシグロ(『生きる LIVING』)
アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー(『トップガン マーヴェリック』)
サラ・ポーリー(『ウーマン・トーキング 私たちの選択』)★
作曲賞
フォルカー・ベルテルマン(『西部戦線異状なし』)★
ジャスティン・ハーウィッツ(『バビロン』)
カーター・バーウェル(『イニシェリン島の精霊』)
サン・ラックス(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)
ジョン・ウィリアムズ(『フェイブルマンズ』)
歌曲賞(主題歌賞)
“Applause”(『私たちの声』)
“Hold My Hand”(『トップガン マーヴェリック』)
“Lift Me Up”(『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』)
“Naatu Naatu”(『RRR』)★
“This Is A Life”(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)
視覚効果賞
『西部戦線異状なし』
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』★
『THE BATMAN -ザ・バットマン-』
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
『トップガン マーヴェリック』
音響賞
『西部戦線異状なし』
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
『THE BATMAN -ザ・バットマン-』
『エルヴィス』
『トップガン マーヴェリック』★
美術賞
『西部戦線異状なし』★
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
『バビロン』
『エルヴィス』
『フェイブルマンズ』
衣装デザイン賞
『バビロン』
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』★
『エルヴィス』
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
『ミセス・ハリス、パリへ行く』
メイクアップ&ヘアスタイリング賞
『西部戦線異状なし』
『THE BATMAN -ザ・バットマン-』
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
『エルヴィス』
『ザ・ホエール』★
長編アニメーション賞
『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』★
『マルセル 靴をはいた小さな貝』
『長ぐつをはいたネコと9つの命』
『ジェイコブと海の怪物』
『私ときどきレッサーパンダ』
短編アニメーション賞
『ぼく モグラ キツネ 馬』★
『The Flying Sailor(原題)』
『氷を売る親子』
『My Year of Dicks(原題)』
『An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It(原題)』
短編実写映画賞
『An Irish Goodbye(原題)』★
『Ivalu(原題)』
『無垢の瞳』
『真冬のトラム運転手』
『The Red Suitcase(原題)』
長編ドキュメンタリー賞
『All That Breathes(原題)』
『All the Beauty and the Bloodshed(原題)』
『ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦』
『A House Made of Splinters(原題)』
『ナワリヌイ』★
短編ドキュメンタリー賞
『エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆』★
『Haulout(原題)』
『How Do You Measure a Year?(原題)』
『マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発』
『Stranger at the Gate(原題)』